「亜紀だって人のこと言えないじゃない。この間まで『里村さん』って言ってたのに、今はうちの学校の先輩が気になるんでしょ?」

「だって、さすがに結婚してる人は無理だもん」


晴香のからかうような言葉に亜紀が頬をふくらませる。

もー、唇までとがらせて、子供みたいなんだから。


里村葉が結婚してるってことは、あの日の翌日に学校で教えておいた。

あの時はさすがに亜紀もショック受けてたみたい。

でもすぐにいつも通りのミーハーな亜紀に戻ったから、もう興味がないんだとは思ってたけど。


「でも美形は見てるだけで嬉しいし、あの店も好きだからよく会いに行くけど。っていうか、前より今の方がよくしゃべるかな~」


だからそう続いた言葉に、あたしはびっくりして口の中のおかずを噴き出しそうになった。

ちょっと待って。まだ里村葉との縁、切れてないの!?