それを聞いていたのはおなじみの顔ぶれ。亜紀と晴香とあたし。

三人そろってお弁当を突っつきながら、こぼれたのはあきれ混じりの特大なため息だった。


「もうさあ、どこに突っ込めばいいのかわかんないよね」


そんなことを言いながら肩をすくめる亜紀に、晴香とあたしは同感とばかりにうなずいてみせた。


「あの加藤さんに特攻をかけた山崎君の無謀さか、どこまでも男になびかない加藤さんの冷血ぶりか……」

「それともたった半日でここまで噂を広げられる、まわりの野次馬根性か」


しみじみとそんなことを言ってみたら、他の三人は「確かにね~」ときれいに声をそろえて笑った。

いや、笑いごとじゃないんだって。ホントにすごいんだから。