「どう、して……?」


頭の中では色んな言葉が渦巻いてるのに、口から出てきたのはたったそれだけのことだった。

しかもものすごく力ない感じ。でもそれだけしぼり出すだけで精一杯だった。

寒い冬の廊下だからってわけじゃなく、身体中からどんどん体温が逃げていくみたい。


なのに智彦はいつもの無邪気な声で、でも少しだけ照れたみたいに笑って頭をかいた。


「や、何ていうかさ。好きな子ができたっていうか……ぶっちゃけ一目惚れしたんだよなー」

「…………はあ?」


なんで好きな人からそんな告白を聞かされなきゃなんないの。

あたしはそういう意味での「はあ?」だったわけよ。


なのにあの無邪気というか無神経というか、どうにもデリカシーに欠けるあの馬鹿は嬉々として食いついてきやがったのよ!