「やっと追いついた、フカミ君!」

「もー、帰るの早すぎ!」


そんなことを言いながら女の子たちが立ち止まったのは、まさに死神サマの後ろ。

――フカミ君?

聞きなれない名前に首を傾げてると、目の前の死神サマが「うん?」と女の子たちを振り返った。


「どうしたの」

「どうしたのじゃなくて、今日バレンタインでしょ。だから日頃の感謝を込めてチョコレートをね、持ってきたんですのよ」

「安心して、友チョコだから!」


女の子たちは軽い調子でそう言って、鞄の中から取り出した小さな包みを死神サマの持ってる紙袋に押し込んだ。