「……あんたには関係ない!」


そう吐き捨てて、つかまれた腕を振り回した。

ああもう、あたしこんなのばっかり!

腕を振り払って、背中を向けて、いつも誰かから逃げ出すハメになる。


相手の顔を見ることもできずに。


「ごめん、亜紀。用事思い出したから先帰る!」

「え、何、どうしたの?」


一応それでも亜紀に声を掛けるだけの頭は回った。

でも顔を上げることはできずに、亜紀の驚いたような声も振り切って、あたしはひとりで店から飛び出した。