「そりゃ、あれだけ美人の奥さんがいたら、他の人なんて興味なくなるわよね」


何だかわけもなく疲れてきて、ため息混じりにそうつぶやいたら、里村葉は驚いたように大きく目を瞬いた。


「え、見たことないだろ?」

「初めて会った時、一緒にいたじゃない」

「あー、彼女は奥さんじゃないよ」

「……はあ?」


思わずぽかんとした。

だって、おかしいでしょ。腕組んで歩いてたんだよ?

まあ突き詰めれば姉とか妹の可能性もあるけど、いい年した大人がそんなにべったりくっつくとは思えないし?

しかもあの女の人の甘えた雰囲気は、明らかに恋人的な空気だったんだけど。


…………えええええ、まさかの展開ですか。