「おまえの場合、その口がうまいから信憑性がな」


 そうつぶやくカツリョウに今田夏日は笑いかける。


「こういうタイプいなかったから新鮮でいいじゃないですか」


「そういう言い方もできなくないけどな」


「T校でやってきたんだから、実際問題行動はないんでしょう」


「だといいけどな」



 オレ、どんだけ信用ないねん。



「まぁせっかく夏日も来たことだし、少し動けよおまえら」


 そらそうや。

 そもそも練習時間やっちゅうねん。


「身体ほぐしてからパス練、夏日先輩も入りますか?」

 
 めずらしい。

 オレはまるでキャプテンみたいな塩入を見て驚いた。

 やることはやるんやな。

 今までキャプテンらしくなかったからちょっと笑ってしまった。


「響もふざけてないで、走って来いよ」


 身体を震わせて笑ってたのがカツリョウにばれてた。

 よう見てるおっさんや。


「今おまえ、おっさんって思っただろ?」


「おっさんやからしゃあないやろ~」

 オレはそう言い残して足を進める。

 パス練。

 今田夏日と組んだら蹴りあいになるんやろうな。

 オレはそんなことを考えながら走っていた。