「夏日」
そう言うたんはカツリョウやった。
いつのまにやらグラウンドに来て、めずらしそうに今田夏日を見てる。
「響を見に来たのか」
ストレートやな、おっさん。
オレは腹の中で笑う。
「まぁ、めったにいないエースですからね」
「いい動きするわ、さすがって感じ」
「お、ええ評価」
オレは思わずそう言う。
「おっさんはオレのこと煙たいと思ってるとばっかり」
「おっさん言うからだろ、おまえの技術は評価してるよ。
それに、チームを引っ張ってもいける。
ムードメイカーで、チームリーダーになれる。
不祥事だけが唯一の心配だ」
「だから、不祥事はこの五年、中学高校とない言うてるやろ。
女関係はしゃあないやんか、向こうから来るねんから。
丁寧にお付き合いしてるだけや。
邪険に扱ったらかわいそうやろ?
女は優しくしなあかんって、おとうちゃんに育てられてんねん」
「でも浮気性なんだよね」
リョウが力なく言う。
「それも遺伝や。
あとはルックスと女を恨んでくれ。
少なくとも、連帯責任取らすようなことにはせえへんから」