年上やからとか。

　チームの先輩やからとか。

　そういう理由で簡単に敬意を払ったりはしない。

　オレはそういう人間。



　そういう環境下で生きてきた。

　せやから今ここで。



　頭を下げるだとか。

　よろしくお願いしますって、ありがちなことを言うだとか。



　それは何か違う気がする。

　きっと、向こうかてそうや。

　オレになんて言うたらええか迷ってるはずや。

　作り笑いの下で。


「夏くん」


　そう言うたんはリョウ。

　その瞬間、今田夏日は作り笑いをなくした。



　ただ。



　心底笑った。



「どうしたの？

　連絡もなしに突然」


　リョウは目を丸くして驚いている。

　どうやら今田夏日は突然やってきたらしい。


「たまにはいいだろう、ふらっときたって」


「そりゃそうだけど、響くんのプレイを見に？」


　突然の振りにオレは一瞬動揺した。