「放っておけや、おっさん」
「いちいちおっさんをつけるな」
そこでオレはカツリョウを見上げる。
「別にまだ付き合うてないし」
「時間の問題だろう?」
「わからへんわ」
「おまえが愛に目をつけないはずがない」
「なんやその自信」
「愛がおまえに目をつけないはずがない」
「それやったらなるようになったっちゅうことやろ?
わかってんねやったら、ガタガタ言うなや」
「問題起こさないでくれよ」
「問題て、オレは女はらませたことないで。
不祥事もなしや、もみ消しなんてうちのT校はせえへんし、即退学や」
「だったらいいけど、勘弁してくれよ」
カツリョウはしみじみため息混じりにそう言う。
「おまえの入部でがぜん全国が近づいたんだ。
それなのに当のおまえに問題があったら泣くに泣けない」
「心配せんでええて」
オレはカツリョウをしっかり見上げて言う。
「オレは女と寝るのが好きやけど、サッカーのが大事や。
そうやってずっと生きてきてんねん。
女のことでサッカーでけへんような人生まっぴらや。
どっちか取れって言われたら速攻サッカー取ったる」