噂は恐ろしい。

 昼休みにはオレと愛が付き合うてることになってた。



 なんでやねん。



 という、ベタベタなツッコミもする気がおきん。

 ま。

 相手は悪くないし、そうなるつもりやったし。

 面倒なことはない。

 昼休み始まってすぐ。



 オレの教室に顔を出した愛は困った顔を見せたが、ほんまは困ってなんていてへんねん。

 顔を見ればわかる。

 したたか言うか、なんと言うか。



 ま。

 ある意味扱いやすくてありがたい。


「よう、色男、さっそくだな、速攻得意だもんな」


 頭の上から落ちてくる声はカツリョウ。

 くそう。

 おっさんの耳にもすでに届いてんのか。


「生徒のプライバシーにいちいち口出しすんなや」


 オレはそう言ってから揚げ定食のメインを口にほおばる。


「おまえの場合、ほかのやつらと違うからな」


「なにがやねん」


 オレは顔を上げずに言う。


「しかも相手が愛だしな」


 意味ありげ。

 あんまり望ましい二人ではないと言うことか。