難しい。



 女やから。



 そういう気持ちもある。

 これが男やったら、がっつり肩でぶつかっていける。

 けど。



 女やから。



 厳しく当たることがでけへん。

 くそう。


「考え事」


 そう言った瞬間リョウが小柴にパスを出す。

 小柴はそれを壁パスにしてリョウに戻す。


「くそっ」


 オレは一歩早く走り出したリョウを追う。

 同時にセンターバックの塩入がリョウをマークする。

 いける。

 リョウが塩入に気をとられた瞬間、後ろからボールを狙ってスライディング。

 見事にボールに当たってオレはそれを両足でつかむ。


「うっしゃ」


 オレは立ち上がる。


「ナイス、響」


 塩入の声にチームメイトが動きをみせる。




 オレは「上がるぞ」そう叫んだ。