まったくクチの減らないおっさんや。


「三上っ!」


 オレはジャージの上着を脱ぎながら叫ぶ。


「オレと交代や」


 偉そう?

 でも三上が二年なのは知ってたことやし。

 ちらりと見たカツリョウもニヤニヤと笑うてるだけや。


「ついでにリョウっ!」


 オレは叫ぶ。


「おまえ右サイドバックに下がりなや」


「対決か?」


「お手並み拝見や」


「よし、リョウがサイドバックで、田島が外れてリョウのポジションに坂井が入れ」


 カツリョウはそうぽんぽんとポジショニングを変えていく。

 普段そうやって紅白戦をやってんのがようわかる。



 なんでもこなせる今田リョウ。



 便利に使うてんねや。


「ほな、行ったるで」


「T校エースの力、見せてもらいましょうか」


「腰抜かすなや」


 オレは言う。

 グラウンドの感触はそう悪くない。