「エースもくそもあるか。
そんなん関係ない。
キーパーかてチャンスさえあったら虎視眈々とゴールを狙えばええ。
それやのに、何なんあれ。
エースと違うから?
小柴がエースやから?
意味わからへん」
それでも相変わらずボールはリョウに回る。
下げるにしろ上げるにしろ。
いったんリョウにボールが回る。
だからなんでいちいちボールまわすねん。
「腹立つわ」
「おまえくらいの選手ならわかるだろう?」
カツリョウは明らかにオレをなだめて言う。
「あいつは安定感があるんだよ」
「そらあいつに出せば次もっとええとこ出るやろ」
それは気づいてたこと。
あいつのパス出しは的確や。
「そんでも安定感ゆうても、試合にはあいつおれへんねんぞ」
そう。
それが現実。