翌日。

 オレは昼休みの食堂でサッカー部員に囲まれていた。

 ほんまやったら、かわいい女子がよかってんけど、仕方ない。

 まずは情報収集からや。


「なぁ、リョウってなんやねん」


 口火を切ったのはオレ。

 みんなそれぞれ箸やらスプーンやらを片手にぽかんとしてる。


「カツリョウに聞いたら特別やゆうてたけど、特別ってなんやねん」


 なんとなく口が重そうな雰囲気。

 言葉選びを間違えたとか?


「だいたいなんで女子なのに練習に参加すんねん。

 サッカーがしたいんやったら女子部作れゆう話やろ?

 カツリョウかてリョウはうまいってゆうてたで?

 それやったら女子部作るんが普通やろ?」


「それはそうかもしれないけど」


 小柴ははっきりせんものの言い方をする。


「リョウは本当に特別なんだよ」


「だから、どう特別やねん」


「リョウの苗字覚えてるか?」


 不自然な質問なような気がした。

 でも覚えてる。

 オレはうなずいた。