「だいたいこの学校には女子サッカー部はないわけ?」


「ないなぁ」


「あの女が作ったらええやろ?」


「そうだな」


「うまいんやったらなおさら作ったほうがええやろ」


「そうだな」


「男子サッカー部にいてもすることないやろ」


「そうでもないけどな」


 は?


「あいつは非公式な試合にはたまに出るんだ」


「嘘やろ?」


「いや、まじめな話。隣の高校とかだと了承済みだから」


「試合に出る?」


「うちの紅白戦でも出るし」


「何なん、そんなに強いんか、あいつ」


「強いも何も、紅白戦すればわかる。

 おまえと違うチームで小柴と組ませるな」


「ポジションは?」


「MF、サイドバックもできる」


「なんやそれ」


「言っただろう、特別だって」


 そう言ってカツリョウはやけに楽しそうに笑う。