「オレもほんまに冬にはかけてるやんか?

  せやから中途半端にはしたないねん。

  練習も今以上に取り組もうと思ってんねんけど。

  あんな?」


 「うん」




 「その休み、オレにくれへんか?」




 「え?」


 「結果がどっちに転んでも。

  勝っても負けても。

  その休みをオレにくれ」


 「くれ?」


 「今日でも明日でも。

  ほんまはお前を抱くんは簡単なことやねん」



 その言葉にリョウは身体をかたくする。



 「せやけど。

  簡単にはしたないねん。

  サッカーも、お前も。

  オレにはどっちも選ぶことがでけへんくらい大切なものやねん。

  だから天秤にはかけたないねん。

  どっちかに傾きたくないねん。

  そんなオレはきっと、ほんまのオレと違うねん。

  そんなオレになったらお前は、オレのこと、きっと愛想つかすねん」



 「響くん」


 リョウはそれ以上は黙ってた。

 そんなことないと。

 小さく首を振ったけど、オレの気持ちはどうやら伝わっているらしかった。