「顔、真っ赤やぞ?」


 そう言うとますます顔を赤くする。

 恋愛処女だから?

 オレは不思議で仕方がなかった。



 中学時代登校拒否してたからって。
 
 今田夏日がけん制してたからって。

 誰もリョウに手をつけなかったなんて。


 オレにとってはラッキーなことやけど。

 けど。


 
 「なぁ」


 オレは身体を戻してラグにどっしり腰を下ろしてから続ける。


 「お前、ほんまに今まで誰か好きな男いてへんかったん?」


 「え?」


 「オレ以外に」


 リョウはゆっくりとオレの顔を見た。

 その頃顔の赤みはずいぶん引いていた。




 けど、上目づかいで見上げられるんはアレやな。

 ちょい、下半身にクルわ。




 「初恋とか、あるやろ?」


 「初恋」


 リョウはそうつぶやいてうつむく。


 「オレはあんで。

  幼稚園のときや。

  担任やったな、たしか裕子先生ゆう名前や」