「コーヒー入れる?」


 ぼけっとしとったオレに顔を上げてリョウが言う。


 「すごく疲れた顔してる」


 リョウはくすくすと笑う。

 楽しそうに肩を揺らして。



 最近だいぶ。

 少なくともオレの前では。

 肩の力が抜けたように思う。

 ぐっと。

 女の子らしくなった。

 惚れたオレの欲目だけちゃうくて。

 きっと。

 気をゆるしてくれてる。

 オレはそう思うてる。

 そう思うだけで、オレもうれしくなる。



 「どうかした?」


 「いや、かわいらしい顔してんなぁ思うて」



 オレが素直にそう言うと、リョウは顔を真っ赤にする。

 ぱっと視線を外してあさってのほうを見る。



 「どないしたん?」


 オレは身体を動かしてリョウの顔をのぞきこむ。