オレ達サッカー部は、それから今まで以上の練習をこなしていた。

 練習が休みになるのは試験期間中くらい。

 それもできれば練習についやしたかってんけど、学校命令で。



 だいいち、アレやねん。

 運動部ってたいがいそうやけど、うちも例にもれずアホばっかやねん。

 せやから赤点とか取ったら練習に支障が出る言われて、しゃあないから活動を自粛して勉強に励まなあかんことになった。


 
 オレは大学からもクラブチームからもスカウトもらってて、本気でそのルートで進もうと思うてたから試験なんてさらさら興味なかってんけど。

 見逃してもらえるはずないわな。

 カツリョウのおっさんに。



 「お前だけ特別扱いされると思うなよ」



 グサリとオレは釘を刺された。

 余裕しゃくしゃくやったのにグサリと。

 その様子を見ていたリョウはくすくすと笑うてた。

 そして「一緒に勉強しよう」とかわいく笑った。




 言い訳やけど。

 その顔がほんまにかわいかったから。



 オレは眠気をこらえて教科書を見下ろしていた。

 そう。

 ただ。

 眺めていた。