「特別すぎる」


「聞きました、あなたが国立にあいつを連れて行ってこと」


「そんなことも話してるのか?」


「あいつは聞けば何もためらわず話してくれます。

 少し、危ないくらいに素直すぎる」


「そうだな」



 そこでオレ達二人は小さく笑う。



「あいつがサッカー部にいてへんかったら、こんなことにはならへんかった。

 それは間違いない。

 せやから、あいつをサッカー部に在籍させたあなたは、特別」


「なるほど」


「それに、あいつにとってのウィークポイントは、あいつ自身よりひょっとしたら、あなたのほうが比重が重いかもしれへん」


「それはなぜ?」


「あなたはきっと。

 こういう言い方をしたらあなたは不服に思うかも知れへんけど、あなたはあいつにとって家族以上に家族だからや」


「家族」



 唯一の相手。

 心を開ける唯一の相手。

 ずっとそのポジションでいたんや。

 リョウにとって今田夏日は。

 想像以上にでかい存在に違いない。