リョウは顔を上げる。

 驚いたようにオレを見上げる。


「そんなに不思議か?

 オレは昨日。

 ケリをつけに行ったんやで?

 別れてくるのが普通やろ?」


 オレの言葉にリョウは首をかしげる。


「何が不思議やねん」


「だって」


「だって、何なん?」


「そんな簡単に別れたりできるものなの?」


「そらまぁ…個人差はあるけどな。

 オレと愛はそういう関係やったん。

 腹割って。

 ちゃんと話して。

 納得してもらった」


「納得」


「せやからお前も、オレのこと、考えてや」


 重なる視線。

 リョウは下唇をかんでうつむく。


「もう、オレはフリーやから。

 お前と同じ立場や。

 オレのこと、まじめに考えてほしいんやけど」


「まじめに?」


「恋愛できるかどうか、やで」