オレは黙ってついてくるよううながす。

 リョウはそれに黙って従った。

 目指していたのは部室。

 ゆっくり話ができるんは、部室に限る。


「なんか、さみしいね」


 リョウはふとそうつぶやく。


「みんながいない部室は、なんか、さみしい」


「せやな、けど、もうそろそろやろ?」


「そうだよね」


「そうや」


 これ以上練習サボったら身体がほんまに動かんようになる。


「座れや」


 オレは窓際のベンチを指差す。

 リョウが腰を下ろすのを待ってオレも隣に座る。

 顔色は悪い感じはせえへんかった。

 風邪は落ちついたんやろ。


「具合は、もうええんやろ?」


「うん、熱も下がったし、ぜんぜん平気」


「そっか」


「うん」


 リョウはそう言ってうつむく。


「リョウ」


「ん?」


「昨日の話やけど」


 そう口を開くとリョウは。

 わかりやすく肩を揺らす。


「愛とは、終わったわ」


 簡潔に言うとそういうことになる。