「最後の頼みやから。

 もし、ええ感じの男ができたんやったら、オレに合わせてくれへんかな」


「ええ?」


「同じ男としてオレがチェックしたるから」


「悟流…」


「本気かどうか、オレが見たるから」


「あのねぇ」


「オレ、けっこう本気で言うてるから。

 男同士ってわかるもんやし。

 ええやろ?

 約束やで」


「最後まであつかましいわね」


 愛は笑う。

 ふふっと。

 ほほを揺らして笑う。

 なんやらその笑顔を見てオレはほんまにほっとしていた。


「愛」


「ん?」


「ありがとな」


「何言ってるんだか」


「ほんまに」


「うん」


「ごめんな」

 

 立ち上がる。

 ほかに。

 もうかける言葉はなかったんやから。