「そういう顔してる。

 だいたいそう。

 わたしと付き合って、ある日真剣な顔してきて。

 人が変わったように好きな女ができたっていうのよ。

 それまではずいぶんクールな男だったのが、熱い男に変貌して」


 その言い草。

 あってるけどなんや、気に入らへんかった。


「それ、蒼太のこと言うてんのか?」


「そうね、蒼太もそうかな。

 もっとも。

 蒼太の場合、わたしと別れるより先に、上月さんと始まっていたけどね」


「怒ってないんやな」


「怒る?」


「フラれて」


 愛は身体を硬くする。

 キッときつくオレをにらみあげる。


「悟流だってそうでしょう?

 わかってるはず。

 わたし達はそういう付き合いでしょう?」



 そういう付き合い。



 そうかもしれへん。

 事実たぶんそうやけど。



 けど。