リョウは明らかに悩んでいた。
それは長い話のせいか。
それとも。
相手がオレだからか。
真意はわからへんかったけど、オレは黙って待ってみた。
リョウは一度両方の口角を上げて笑って、それから。
中学の頃ね。
そうゆっくり話し始めた。
「クラスになじめなくて登校拒否してたの」
「お前が?」
それは意外な現実。
てっきり中学時代もサッカー部におったと思ってたから。
「そう、ぜんぜん学校に通ってなくて、家からも出なくて」
「そうなんや」
「ずっと家にいたの。
両親はそんなわたしをもてあましてた。
どうあつかったらいいのかわかってなかったし、だからといって、その方法を学校に相談することもなかった。
つまり。
わたしは誰にも邪魔されず、この家に閉じこもっていたの」
そんな中学生。
さっぱり想像でけへん。
オレは今とさほど変わらん生活を送っていた。
いうなれば。
今より多少女関係は落ち着いていた。
けど、勉強よりサッカー。
そんなわかりやすい中学生やったな。