ほっとした。

 オレはほんまにほっとしてた。

 そんで深呼吸して、楽になる。


「おおきに」


「ううん、いいの、だって、響くんわたしのこと心配してくれてたんだよね」


「まぁ、途中までは」


「途中?」


「途中から健全な高校生の思考になったけど」


「え?」


「しゃあないやろ、なんやら、かわいく思えたんやから」


「か…」

「ちっさくて、弱弱しくて、オレがついてないとあかんなって、思ってしもたんやからしゃあないやろ」


「しゃあないって」


「そういう衝動は抑えたらあかんねん」


「あかんねんって」


「守ったるって」


「え?」


「オレが守ったるって思ったんやからしゃあないやろ?」



 そういうことやねん。

 ふたを開けてみれば。

 なんやらかっこええこと並べても。

 途中からは普通の男の思考やねん。



「誰にも渡したないって思ったんやから」


 そう言って、しばらくたってリョウを見ると、妙に動揺してる。

 さすが恋愛処女。

 こういうこと言われたこともないんかな。


「せやからキスしたんやろ?

 ほかにどんな理由があんねん」


 よう見ると、リョウの顔は真っ赤やった。


「それを含めてオレは聞いたんや」


「え?」


「怒ってへんか、って」