ほんなら。
とオレはティーカップをテーブルに戻す。
そして。
もう一歩深いところまで進んでみようと腰を上げる。
「オレにキスされたんも覚えてるやろ?」
そこでリョウはびくりと身体を揺らす。
「そうやんな。
あんなに何度もしたんやから、覚えてへんわけないわな。
そっちはどうやった?
オレのキス。
あかんかった?」
あれ。
オレドSやな。
完全に言葉責めやんな。
これはちょっとあかんムードかも。
「言葉の選択が悪かったな、ごめん」
オレはため息をつく。
「ただ、イヤやったかどうかを聞きたかっただけやねん。
オレに抱きしめられんの。
オレにキスされんの。
ほんまのところ、どうやねん。
イヤやったら、イヤでええねんぞ?」
オレがそうまじめに言うと、リョウはゆっくり視線をオレに向ける。
久しぶりに視線が重なる。
リョウは動揺していない様子。
ただ。
まだ答えに迷っている感はある。