「必死やったから。

 昨日。

 部室で。

 真っ青な顔して、必死にデータ取りして。

 その横顔見たらオレ。

 間違ってんの気づいてしもた。

 あかんかったって。

 今まで。

 あかんことしてきたんやって」



 そう。

 ほんで、胸が苦しくなったんや。



「せやから、止めたかった。

 無理してるお前を休ませたかった。

 何でもいいから、とにかく。

 楽させたかったんや。

 そんで。

 せやから。

 動き、止めたなって。

 オレ、抱きしめたんや」



 何でやろって、考えた。

 何であそこで手が出たんやろうって。

 そんで、出た答えがこれ。



 きっと、たぶん。

 間違ってない。



「オレの腕の中で休んだらええって、そう思ったんや」