「リョウ」
「え?」
「オレがもっと言葉を選んで、イエスかノーかで答えたほうがええか?」
それは長い沈黙の果てに思いついたこと。
「そのほうが楽なんやったら、質問するけど」
「あ、えっと、うん、そう、かな」
相変わらず疑問系や。
オレは心の中でため息をつきながら質問をひねり出した。
「昨日のことは覚えてるやろ?」
ややあった。
少し間が空いて、それから。
「うん」
と、リョウはうなずいた。
「オレがお前に何したか、ちゃんと覚えてるな?」
「うん」
「オレが何言うたかは、どうやねん」
「えっと」
「オレから見てあのときのお前は普通と違うかったで」
「違う?」
「冷静さを欠いていた」
そこでリョウは苦笑いする。
「そう、かな」
「そうや、いつものおまえとだいぶ違ったわ」
「そうかも」
「せやから、気づいてしもたんや」
オレの言葉にリョウは動きを止めた。