しばらくたって、リョウは馬鹿でかいポットをトレイに載せて戻ってきた。

 どんだけ紅茶飲むねん、心でツッコみながらとりあえず笑った。

 リョウはソファの横にひざをつくと、手際よく紅茶を入れていく。

 もちろん、カップは高そうな柄のついたティーカップやった。

 そんで、自分の分も入れるとリョウはオレの向かいに腰を下ろした。

 コットンっぽいワンピース。

 風邪で熱出して苦しんでいるやつの服装ではなかった。


「具合、もうええんか?」


 オレは紅茶に手をつけるより先にそう聞いた。


「カツリョウが心配してたで?

 休むなんてなかったんやって?」


 うん。

 とばつが悪そうにリョウはつぶやく。

 やっぱり半分は仮病やったか。



 オレはため息をつく。


「単刀直入でええか?」


「え?」


「オレ、遠まわしとかあかんねん。

 そういうの、性格と違うねん。

 言葉を選んだりでけへんねん」


「響くん」


「聞くけど」



 空気が変わった。

 ほんわかした空気が。

 ぴしっとなった。



「怒ってるんか?」


 オレは続ける。


「それとも」



 戸惑ってるだけなんか?