「子供みたいやった」


 小さな子供。

 おびえた子供。

 そんな感じがした。


「今までオレが抱きしめた誰より小さくて、はかなくて」


「弱ってたからな」


「せやな」


「それだけか?」


「いや」


 それで終わってたらどうなってたか。



 何回か考えた。

 夕べ眠りにつくまで。

 今朝目が覚めてから。

 校門をくぐる前。

 何度か考えたけど、答えなんて出なかった。

 出るはずがない。



「キスした」


 そう。

 キスをした。



 しばらく抱きしめて。

 それで。


 髪をなでて。



 身体を離して。



 キスをした。



 そのときもリョウは動かなくて。

 その無反応がなんだかやるせなくて。

 オレは何度も口づけた。

 そう。



 何度もキスをしたんや。