その自信満々のセリフ。

 カツリョウはどんだけ自分の眼力に自信があるのか。



 けど。

 悲しいかな、外れてはないねや。



 昨日。

 さして長くもない間に。

 リョウが。

 カバンも持たず傘もささず。

 部室を飛び出してしまうようなこと。



 理由はオレ。

 オレが原因。



 良し悪しがあるなら、オレが悪い。

 けど。

 あれは衝動や。



 そんなん抑えられるくらいならなんもせん。



「何をしたんだ」


 ゆっくりとカツリョウが言う。


「お前のことだ、別に乱暴なことをしたわけじゃないだろう?」


「そらそうや、女には優しく言うて育てられてきたわ」


「じゃあ、リョウにはどう接したと?」



 抱きしめた。

 思わず。



 抱きしめずにはいられんかった。



 かわいくて。

 かわいそうで。

 オレを求めてる。

 そう思ったんや。



 オレは腹をくくる。

 このおっさんには隠し事は通用しない。



「手を出した、抱きしめた」


「リョウは?」


「何も」


「何も?」


「ただじっとしてた」


 そう。


「オレの腕の中でただ動かずにいたわ」