「おまえは、リョウが熱を出したことに心当たりはないと?」


「そうとは言うてへん」


「白を切るつもりはなくなったか?」


「オレはそんなつもりはハナからないわ」


「じゃあオレに話せるか?」


「話せる?」


「昨日、リョウと何があったか」



 こいつ、知ってんねや。

 オレとリョウが二人。

 部室にいてたこと知ってんねや。



 だから意味ありげに怒ってんねや。


「オレとリョウの間に何かがあったと?」


 カツリョウはうなずく。


「自信あるんやな、なんで知っとんねん」


「目撃した」


「目撃?」


「昨日、職員室の廊下から部室群の入り口はよく見えるからな」


 なるほど。


「雨の中、傘をさしてサッカー部の部室に向かうお前を見た。

 休みのはずなのに何をしているのかとしばらく見ていたら、リョウが出てきた」


 出てきた、ね。


「正確には飛び出してきた、だな」


「雨の中傘もささずにやろ?」


「カバンも持ってなかっただろう?

 あいつのカバンは?」


「あいつのロッカーに放り込んできた」


「で?」


 この口調。



 本気で喧嘩腰やな。