下駄箱。

 いつものようにスニーカーを突っ込んでサンダルを取り出す。

 つっかけながら歩き出したオレの目の前には。


「カツリョウ」


 なんやろ。

 雰囲気が違う。

 怒ってるのか。

 どうなのか。

 けどわかるんは。

 待ってたいうこと。



 オレを待ってたんや。



 こいつ。

 オレが登校するのを待ってた。

 担任やのに。

 わざわざ下駄箱で。

 朝一。


「何なん?」


 オレはこともなげに言う。

 それが腹立たしかったのか。

 カツリョウは少し気にいらなそうな渋い顔をしてみせる。


「顔貸せ」


「は?」


「いいから、ついてこい」


 カツリョウはそう言ってオレに背を向ける。



 ほんまにこれは。

 何なん?