「おまえ」


 オレは言う。


「休みはおまえも休めや」


 リョウはうなずかない。


 DVDをそっと少しだけ巻き戻すだけで。


「休みやねんから、おまえも休まんとあかんやろ」


 返事はない。


「そんなこと一人でやっとったらおかしなんぞ」


 オレは続ける。

 それはもう独り言と変わらなかった。


「今やらんでもええやろ?

 これからまだ時間はあんねん。

 オレらかてあせる気持ちおさえてんねんぞ?

 わかるか?

 雨のせいにして。

 ほんまはめっちゃ走りたいねんぞ?

 それごまかしてんねや。

 おまえもオレらに合わせろや。

 チームメイトやろ?」



 イライラしていた。



 誰にも知られないように。

 静かにそっと。



 一人で苦しみながら努力するリョウに。



 嫌気がさしていた。



 チームやのに。

 チームやから。

 一緒にやるのがほんまやろ。