タケシの胸中にはいつも学が存在していた。そして背中を押してくれる大切な存在でもあったのである。


勇気と希望と言う素晴らしい贈り物を学から与えて貰ったタケシは、気合いを込めながら今度のセッションへ向けて練習を再開した…。


コウスケが、あの電話から三日後に電話して来た。


電話の内容は勿論、新たなるバンドに関してである。どうやら音楽性の違いで、前任のギタリストが急遽脱退してしまったらしい。


バンドの世界では方向性の違いや、人間関係でメンバーが脱退する事は日常茶飯事に近いのが現実なのである。


コウスケと出会った時が、前任者であるギタリストが務めた最後のステージだったそうである…。