今日は追い風だから良いものの、これが向かい風の時となると話しが全く違って来る。


向かい風は、バイク乗りにとって天敵も同然で、運転には細心の注意が必要となる。


フルフェイスのヘルメットならば比較的問題ないのだが、タケシの被っているヘルメットはいわゆる「半ヘル」と云う代物である。


タケシは半ヘルには必須アイテムであるゴーグルを何故か持ってないのだ。


その為、風が視界と運転を邪魔する事が度々ある。


そんな時は危なくてスピードが出せないし、足元の大事なギターが地面に転がりでもしたら発狂しながら号泣し、


「お、俺様の大切なギターがぁぁぁ−−−!!!」


と絶叫し、あげ句の果てに自我崩壊してしまう事態は免れないだろう。


そう云った華麗なる悲劇を避ける為、タケシは向かい風の日が来ると無理をせずに、慎重な運転をいつも心掛けていた…。