私はまさか勝一君に喋りかけられるなんて思ってもみなかった。


「勝一君…。ちょっと考え事してただけだよ。」


私はまだビックリしたままで
片言になっていた。


「…ふ~ん。」


勝一君はそれだけ言うと
私の顔をジッと見ていた。


「なっ…何っっ?」


「…いや…別に何もない。」


勝一君はそれを言うと
立ち去ろうとしていた。

私は気になって思わず
大声を出してしまった。


「あ…あのっっ!勝一君っ!」

ビックリしたのか勝一君はすぐに立ち止まり
後ろを振り返った。


「!?…どうしたの?」


勝一君は驚きながらも
こっちに向かって来てくれた。

「あのねっ…今から時間あるっ?」


ついつい早口になってしまう私を見て
勝一君は少し目を丸くしていた。


「…別に何もないけど。」


「本当にっ?少し一緒にお茶しない?」


「いいよ。」


その時、私はドキッとした。
『いいよ。』と言ったときの
勝一君が少し微笑んでいた。


『私なんでこんなドキッと
するのよっ。意味わかんない。』