「何だ栗本、プライベートな質問は個人でしろよ」



面白そうに笑って言う担任に、クラスの奴らがつられるようにして笑う。


勿論、俺は笑える筈なんてなくて、小さく舌打ちをする。



「情報は共有すべきだと思ったんで。クラスメートとして」



表情は見えないが、担任ではなくももを見ているようにも思える。



まるで見つめ合っているようにしか見えず、イライラが募る。



あああぁぁぁぁ〜〜〜〜っ!!!!


ちくしょう…。


く………ええと、名前何だったっけ。…くり……毬栗(イガグリ)ヤローめ。



って…言える立場でも何でもない。


そう。そうなんだ。


立場からすれば、毬栗ヤローと何ら変わりないのだから。



俺、耐えられるのか…?やってけんのかよ?



ももからすれば、俺だってただのお友達…ただのクラスメートにしかすぎないんだ。




「はいはーい!!センセ!!センセーは、どんなおねいさんがタイプ!?」



その時、今度は違う聞き慣れた声が、徐々に所々から投げられ始めていた質問の声を、割る。


まさかまさかの、雀の千声鶴の一声。



…………。


龍雅……。


なんて空気が読める奴なんだろうか……。



何だよ、誰もヤローの話なんて聞きたくねえよ。


なんて空気を感じるが、誰も何も言わない。



そりゃそうだよな。まだそこまで仲良ししてる訳でもねえし。


「センセ!!教員同士ってどおなん!?実際あるの!?」