ももに遠慮なく向けられる、たくさんの目。


そのどれもに含まれる、色。


獲物を見つめるような、いやらしい瞳。



俺がこんなんだから、そう感じるだけなのか?


それとも余計に、そう感じてしまうのか?


そんな事を考えてみた所で、この沢山の視線を逸らす事なんて、できないのに。



「え〜…っと、唯ノ瀬ももです」



俺はこんなにも、小さい男だったのか。


始まったももの挨拶に、どうにかしてももを隠してしまえないかとすら思ってしまう。


「好きな食べ物はプリンです。特にカスタードプリンが好きです」



「…………」



ももの言葉に、固まる俺。



おいおい、小学生じゃねえんだから。


と思いながらも、緩んでしまう頬。


そう言う着飾ってない所が、ももらしいと言うか何と言うか。


この時、何人の男子が、脳内にプリンとメモリーしただろう。

※カスタードプリンが特に好き。と。



少なくとも、俺もそこに含まれてしまうのだけども。



俺は…これからどうしたいのだろう。


どうするのだろう。



恋なんて、俺には必要ないのに。するつもりなんて、なかったのに。



気持ちなんて、いつかは邪魔になるだけなんだ。


こんな気持ち、初めて知った。こんなに面倒くさい感情なら、恋なんてするべきじゃない。



何よりも、俺に人を好きになる資格なんて、やっぱりないのだから。