『お前、ずいぶんとでかくなったもんだなあ〜』



ヤバい。

完ッ全に怒ってらっしゃる。


一気にUターンして、進行方向を変えてしまいたいが、そんな事したら命がない気がし、慌てて打ち消す。



「悪い!!マジごめん!!今向かってる!!」



ようやく長い廊下と長い階段を終え、下駄箱に辿り着く。


すると、少し遅れてみんながやって来る。



「るぅちゃん、早いよお〜」



「付いて来なくていいし!!」



「ちょっとは俺らの事も、考えてくれよ〜」



美春と龍雅の言葉を聞きながらも、慌てて靴に履き替える。


バタバタと飛び出し、校門まで全速力で駆け抜ける。


部活動をする生徒を後目に、これ以上待たせるのは本気でヤバいと焦りながらも、急いで向かった。



やっぱり後ろからは、文句が聞こえくる。


それでも付いてくる奴らに、半ば呆れてしまう。



怒らせてヤバいのもあるけど……。

こいつらと会わせたら、もっとヤバい気がするのは、俺だけか?


でも今は、簡単に鬼畜兄貴への思いが勝った。


とりあえず、目の前の課題をなんとかせねば。



ももの事があったと思ったら、今度はよりにもよって慶兄かよ?


マジ俺ドタバタキャラ決定じゃん………。



あー!!!!なんなんだー!!!!ちくしょーっ!!!!




ようやくハッキリしてきた校門には、爽やかな笑顔を浮かべた慶兄が、校門にもたれ掛かるようにして俺を見ていた。



そんな表情に、やっぱり全力で逃げたくなった。