「告られたんだろ〜?どうなったんだよー!!」



「えぇっ!!なんで知ってるの!?」



キラキラした笑顔で、龍雅がいきなり核心に迫る。


ふざけているようだが、こう切り出したのは俺のためなのだろう。


意気地のない、そんな事も聞けない俺のため。



戸惑うように顔をひきつらせたももの頬に、淡く朱が混ざる。


そんな姿に、俺の鼓動は暴れ出す。



「あの人でしょう?えーっと、栗本クン?」



「うん…そうなんだけど」



美春の言葉に頷いたももに、これからの事が懸かっている。

そう思うと、次の言葉をすぐにでも聞きたいような、永遠に聞く事のないような、そんな思いが交差する。


なんだかまるで、裁判官からの判決を待つ、被告人の気分だ。



「付き合ってって…言われて…」



言いにくそうに言葉を詰まらせるももから、目を背け耳を塞いでしまいたい。


今すぐ走り出し、むしゃくしゃする気分を晴らしてしまいたい。



「ごめんなさいって断った」




その一言に、頭が真っ白になる。


何にも考えれない程、無心でももを見つめた。



「ぐ…っ」



そんな俺を、隣に座っていた宗太が、思い切り俺の背中を殴る。


バシンと教室中に広がった音に、ももが不思議そうに俺と宗太を見つめる。


思わず宗太に振り返ってみると、目を細めていやらしく口元を釣り上げた宗太と目があった。



い…いってぇ〜……。


…おもいっきり殴りやがった。


恨めしく宗太を見つめたが、内心嬉しくてホッとする。


いや、そんなモノではない。


叫び出したくなる程に、俺は気持ちが浮上するのが分かった。