僕にとって古本屋のじいさんは、本当の僕のじいさんみたいな存在だ。 

じいさんも、僕の事を孫のようにかわいがってくれる。 

そして、じいさんは大のミステリー好きである。

そんなじいさんに、ある相談を受けたのはつい一週間前の事だった。 


「哲太、ちょっと。」

いつものように本を立ち読みしていた僕を、じいさんが呼び止めた。 

じいさんに続いて店の奥へと入っていった。 

店の奥の床は軋んで、今にもぬけてしまいそうだ。 
じいさんは急な階段を登っていった。 


「生活するのには、少し不便だなあ。こんな所。」

「もう馴れたわい。」
じいさんは笑いとばした。