「お茶、飲むかい?」

「あっ、…」
僕が返事する前に、じいさんは奥に茶を沸かしに行った。 

「ありがとう。」
いつもの湯のみを受け取る。 


高校の入学式の日の事だった。 

特別、春風の冷たい日だった。 

初めて帰る道。 
その途中にこの古本屋があった。 
【タケダ古本店】
と書かれたさびれた看板が、僕にはどこかほっとするものを感じさせた。 

丁度、ミステリー小説も読みたくて、少しためらいながら古本屋に入っていった。 

あれから、もう一年立つが今も変わりなく毎日のように通っている。