向こうから、一人の少年が歩いてくるのが見えた。 

髪もボサボサで、随分と冴えなさそうな奴だ。 

悪戯してやろうか。 

近づこうとした時、少年はちらっとこっちを見た。 パチッと目があった。

ん? 
まさかな…… 
気のせいだよな、俺の事なんか見えるはずねぇよなあ?  

俺は、そいつの服に悪戯しようとズボンの裾を掴んだ。

その時だった。
「ちょっと、何してるんですか?!」
俺の顔を見て、はっきりそう言ったんだ。 

「お、お前!!俺の事が見えるのか?!」

少年は顔をしかめながら、「当たり前だろ。」
と呟いた。