俺が地元を離れた日。
朝早いのに健と美波と信之介が
見送りに来てくれた。
照れて少し当たったけど
電車に乗るとニヤけが止まらなかった。
電車と新幹線を使って
4時間半かかって東京に着いた。
そこから親戚の家に行って、
すぐに大学のグラウンドに行ってみた。
フェンス越しに見ていたけど、
体格に差があって驚いた。
球も速いし、
低めに集まってるし、
打球の飛距離も凄い。
ゾクッとした。
俺はここで活躍できるのかって、
不安になった。
楽しみは消えて、
不安しかなかった。
「うっわ、すげ;;」
後ろから声がして後ろを振り向くと
大荷物を持った男がいた。
「凄くね!?」
パッと顔を明るくして言ってくる。
「お、おぉ…。」
「俺、今度ここに入部する川越大輔!!」
「あ、河野大地…。」
「そっか!!仲良くしてな」
「俺、甲子園1回しか行っとらんけん
不安なんよなー!!」
全然不安って顔と声じゃないんだけど;;
「俺はベンチすら入ってなかったよ」
投げやりに言うと
川越はビックリしていた。
「マジで!?どんな強豪校だよ!!」
「ぃや、単なるヘボ高校だけど…;;」
決勝とか行った事無いし。
「でもセレクション受かったんだから
大地がいいって思う分部があったんよ。
自信持てよ??」
って明るく言うから少しだけ安心した。