「しゃすっ!!」


篠岡はプロ入りが決まってから、

一段と声を出すようになった。

今してるバント処理だって

ほぼ毎日してるのに

飽きずに真面目にしている。

こうゆう所を見習いたい。







「お願いしますっ!!」


バント処理は好きだ。

昔からフィールディングは

上手い方だと言われていた。

得意意識のあるものとか、

褒められた部分の練習は好きだ。


部長先生が打った球を処理する。

俺の番になって前に出た。

いつものようにグローブを出した。



『―――全然下手くそじゃないから!!』



「―――っ///」


目の前のボールは俺のグローブに当たって

ぽくっと可愛らしい音を出して

テンテンと転がった。



「〜〜〜///!! もう1回お願いします!!」



次はきっちり出来た。


恥ずかしい〜///

ってか…///

俺を褒めないでくれ///

俺さっき何考えてた……。

少しでもかっこいい所

見せたいって思ってた。

うっわ、恥ずかしい…///

数分前に戻りたぃ……///





新しい発見。

俺は褒められたら駄目になるタイプだ。


褒められてもキリッてしてないと

ニヤけてちゃんとできなくなる。



「ふぅ…」


ゆっくり息を吐いた。

俺にはかっこつけるほど、

実力も余裕も無いだろ?

間違えんな。

でしゃばんな。




俺は、基礎をいっぱいしないと

駄目なタイプだろ。


じゃぁいつも通り真面目にやってろ。




自分に喧嘩吹っかけるみたいに

そぅ自分に言い聞かせた。



『悔しかったら上手くなれよ』

そぅ、自分に言い聞かせた。