――――カンッッ
「上手い!!」
「ファースト!!」
「基、1つ!!」
1つ:1塁のこと。
もともとバントの構えを見せていたから
ファーストの基はダッシュしてきた。
さぁ1死3塁。
走者は盗塁も決めた俊足の田中、
打者は広角に打てる下田。
――――さぁどう出る…!!
「3番 サード 下田」
さぁチャンスで回ってきたぞ。
相手はプレッシャーだろ。
1回いきなり安打、盗塁、送りバントって
簡単にチャンス作られてるんだからな。
1回いきなりだけど
守りのタイムを使っている。
この試合に関しては毎年、
監督もコーチも部長先生も
アドバイスはしない。
『選手が動く』
『選手が考える』
そんな試合だ。
監督に頼ってばかりだと勝てねぇよ。
俺はスクイズなんて
チマチマしたことしねーよ。
ランナー3塁だったら右に打ちたいな。
なおかつ自分も生きれる打球。
内野抜くしかねぇじゃん;;
「――ッッ」
おいおい当てる気かぁあ;;
体スレスレじゃん;;
まだベルトの近くの投球だ。
本調子じゃないな。
野手を見ると声が出てない。
おいおいバッテリーに全部任せんなよ。
バッテリー合わせて全員で
このピンチ守り切れよ。