和田は俺のサインに頷いて投げた。


――――カキィンッッ


おっしゃ!!

打球はセカンド方向。

セカンドの山田はすでに捕球態勢。

時田はセカンドフライで終わりだ。





「2番 センター 時田葉」


足が速い兄貴討ち取ったのはいいぞ。

短いイニングなんだ。

攻めていくぞ。




弟の葉(ヨウ)はミート巧いだけだ。

悠(ユウ)よりは出してもめんどくさくはない。



初球はシンカーを使った。

さっき使ってなかったし見ておきたかった。


「ストライク!!」

ギリギリ擦ってたみたいで儲けた。


「ナイスボール!!」



あの球はいっただけでも

配球にけっこう使えるんだ。


入ってのは真ん中低め。


さっきは外の球で決めたから

決め球は外以外にしとこ。



『内角に直球』


和田は頷いて投げたけど、

来た球が甘いッッ



――――カキィインッッ



打球はセンター前。

球に力があったから詰まった感じだったな。

逆に綺麗に飛ばしてくれればよかったのに。




「和田、いいとこ来てんぞ!!」


そぅ言うと少しだけ苦笑いしてたから

自分でわかってたのかも。